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製鉄の仕組み

鉄は自然界では鉄鉱石(赤鉄鉱、褐鉄鉱、磁鉄鉱)と砂鉄(火成岩であるチタン磁鉄鉱、フェロチタン鉄鉱が風化し粒状になったもの)があります。

自然界にある鉄は酸素が結合した状態にあり、このままでは鉄として加工出来ないので、炉内を1400℃にし、半溶解の状態で一酸化炭素を加えることにより、酸素を奪う還元作用にて鉄を取り出します。(Fe3O4+4Co→3Fe+4Co)

たたら製鉄では、現代の製鉄の様に鉄鉱石をドロドロに溶かすのではなく、木炭の燃焼により発生する一酸化炭素が酸素と結合し、二酸化炭素となり、酸化鉄から酸素を奪い直接鉄を造る「鉧おし法」と言います。

「鉧おし法」で使用するたたら炭は、生焼けの方が良いと言われています。生焼けでは燃焼時間が長くより多くの一酸化炭素を放出するので、あえて生焼けのたたら炭を作る必要があります。(たたら炭製作参照)

 

鉄にはそもそも含有の炭素量により銑鉄(2~5%)、鋼(0.3~2%)、錬鉄(0~0.2%)に分けられます。一般的にいう鉄は錬鉄の事です。

 

現在の製鉄(高炉)は2000℃位で鉄鉱石をドロドロに溶かして銑にし、不純物を取り除き、炭素を除去して鉄を造りだしており、銑を造る事から「銑おし法」にあたります。

 

たたら製鉄の初期では自然の風を利用し炉内の温度を上げ、製鉄を行っていましたが、やはり炉内の温度がそう上がらずに、出来上がったものは海面鉄の様な還元しきっていない鉄が多いと思われます。

 

奈良時代になると、鞴が朝鮮半島より伝えられ使用することにより、より多くの風を炉内に送ることができ、効率よく製鉄が行われるようになりました。

 

戦国時代においては膨大な刀の需要があり、たたら製鉄は1回での製鉄で多くの安定した質の玉鋼を造る必要があり、たたら炉・踏み鞴・天秤鞴共に大型化させてゆきました。

 

現代は「日刀保たたら」に至っては、さらに大型で風力も強くなり、出来る鋼も大きくなっています。

 

 

材料である鉄鉱石、砂鉄に関しても戦国時代以前は交通もそれほど発達していない為、各々地域で採れる砂鉄を中心にたたら製鉄が行われており、各地方の特徴が表れていましたが、江戸期以降は交通網が発達し、多く採れる産地より砂鉄を購入したため、全国的に均一な地鉄肌模様になっていきました。

 

現代においても日本美術保存協会の「たたら」も大きく、風力が強く、砂鉄も同一のものです。全国の刀匠は一部の人を除き、この「たたら」で出来た玉鋼を使い作刀しています。

と言うことは、この材料で作刀されたものは、ほぼ同じ地鉄、刃紋になってしまうという事です。

たたら装置
鉧
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