top of page

手こずる

執筆者の写真: 刀工 祐崇刀工 祐崇

前回4回まで鍛えた分の鍛錬を進める。

前回から黒皮が出て削り取り、沸かしを繰り返したが、未だ止まず。

収まったと思った、6回目にはコバを叩いて伸ばしていると、両側面に大きな膨れが出る。

完全に中が黒皮の為に鍛接不良で、その間の空気が膨張したためだ。

ここで捨ててしまうのは忍びないので、鏨で膨れたところを割り取り、ホウ酸をかけ、溶けるぐらいに沸かすこと2回、材料は減ったが何とか黒皮部分が鍛接出来たようだ。

後は、傷がどうかである。

傷が出ることを想定して、包丁の重ねを大きくとる。こうすれば、万一傷が出た場合でも、削り取る余裕ができる。


火造りが終わって、ベルトグラインダーで成型する時も、多くの傷が出るが、致命傷ではなく、何とか整えることができた。


焼き入れ後も歪みなおしてグラインダーを掛け、夕刻には何とか18cm牛刀、15cm小包丁に柄を付けることができた。


今回黒皮が多く出たのは、たたら製鉄である産地の砂鉄を混合したためと思われる。

次回たたら製鉄では、配分を再考する必要あり。


 
 
 

最新記事

すべて表示

再焼き入れ

以前注文いただき、製作した刺身包丁が砥いでも切れないとの事で連絡があり、再度焼き入れをする。原因は色々あるが、焼き入れ後の焼きなましの温度が高くなり過ぎ、焼きが戻ってしまったか、一番考えられるのは、砂鉄からたたら製鉄で玉鋼を造っているが、どうしても場所ごとに炭素量のバラツキ...

Comments


bottom of page