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焼き入れ

執筆者の写真: 刀工 祐崇刀工 祐崇

今日の予定は、炭出しと焼き入れ。

スムーズに作業を行うために、まずは、焼き入れの準備。

焼き刃土を乳鉢でペースト状に擦り、9寸柳刃、仕込刀、ペティナイフ、槍、小柄に塗ってゆく。

それらはゆっくりと乾燥させてゆく。急いで火にかざしたりすると、何故か剥がれ落ちやすい。剥がれ落ちるとそこも焼が入ってしまうので、刃紋も汚くなり、棟焼きになってしまう。


乾かしている間に、炭窯から松炭を出し、小割にしてゆく。

今回もよく締まっている炭が小割にした状態で、4俵。いつもと同じ。

細かい炭は丁度焼き入れ炭に使える。


昼食後、船の水温度を調整し、柳刃から焼き入れ。柳刃は片面が刃角度がついている為、平の方に反り勝ち。

一番難しいのは、仕込刀。重ねが薄い為、温度を上げるだけでも曲がりが出てしまう。おまけに60cmと長いので、先元の温度が一定にならない。5分ほど格闘し焼き入れ。

結構刀身は蛇のようにうねる。

他のは無難に焼き入れ、続き焼き均しと曲がり直し。

仕込刀は大きくうねっているが、鎬を叩きすぎると反りが臥せってしまうので、怖々刃の方も叩く。日刀保の玉鋼だと折れてしまう。

格闘15分なんとか真っすぐかつ仕込鞘に入るように反りを整える。後日再度微調整は必要。

焼き入れがうまくゆき、安堵。



 
 
 

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